■5月中旬の風とともに、ヴィクトリアマイル出走!
5月の中旬、初夏の陽気が心地よい季節となってきました。東京競馬場ではこの季節恒例のビッグレース、「ヴィクトリアマイル(G1)」が5月18日に開催されました。
牝馬限定のこの一戦は、春のマイル女王決定戦として非常に注目度が高く、今年も例に漏れずハイレベルな戦いが繰り広げられました。
そしてこの大舞台を制したのは、圧巻の末脚でゴール前を差し切った1番人気のアスコリピチェーノ。
ここでは、その衝撃的なレース内容と今後の展望について、競馬ビギナーの方にもわかりやすく振り返っていきます。
■驚きの追い込み!アスコリピチェーノ、直線一気の差し切り勝ち
スタート直後、アスコリピチェーノは行き脚がつかず、道中は最後方からの競馬。府中の長い直線に入ってもまだほぼ後ろから数えて数頭目という位置取りに、観客席からはどよめきが起きました。
しかし、ここからがこの馬の真骨頂。残り200mを切ったところで一気にスピードに乗り、前を行く10頭以上をごぼう抜き!
最後はクイーンズウォークを首差で差し切る劇的な勝利を見せました。勝ちタイムは1分32秒1。
鞍上のC.ルメール騎手も「坂を上ったあたりからスイッチが入って、素晴らしい瞬発力を使ってくれた」とコメント。
直線では何度も手前(走り脚)を切り替えるなど、馬自身が勝ちにいく意思を見せた走りでした。
■G1・2勝目で名牝の仲間入りへ
この勝利で、アスコリピチェーノは2023年阪神ジュベナイルフィリーズ以来となるG1・2勝目を獲得。
短距離戦のスペシャリストと思われがちでしたが、今回のヴィクトリアマイルで再び“マイルでの強さ”を証明しました。
また、アスコリピチェーノを管理する黒岩陽一調教師にとってはJRA通算200勝の節目となるメモリアル勝利でもありました。
さらに、鞍上のルメール騎手はこのレース4勝目で、アーモンドアイやグランアレグリアに続く名牝とともにこのレースを制した経験を持つだけに、「アスコリピチェーノもトップマイラーになれる」と高く評価しています。
■敗れてなお強し、クイーンズウォークの善戦
惜しくも2着に敗れたのは4番人気のクイーンズウォーク。
こちらも後方からの競馬で、最後の直線では一度先頭に立つかと思われる見せ場たっぷりの走りを見せましたが、最後の最後でアスコリピチェーノの末脚に屈しました。
鞍上の川田騎手は「具合もよく、久しぶりのマイル戦でもきっちり走ってくれた」とコメント。
今後のマイル戦線でも期待が持てる内容で、G1タイトル獲得も時間の問題といえるでしょう。
■今後の注目は「安田記念」!牡馬との対決が待つ
勝利したアスコリピチェーノ陣営が次に視野に入れているのは、6月8日に東京競馬場で行われる安田記念(G1)。
このレースは牡牝混合で行われるマイルの頂上決戦であり、「上半期のマイル最強馬」を決める一戦です。
過去にはヴィクトリアマイルからの連勝を成し遂げたソングラインなどの例もあり、アスコリピチェーノにとっては次なる大きな挑戦。
牡馬相手にどこまで通用するのか、その精神力と末脚が再び試される舞台となります。
この春、最も注目されるG1のひとつとして、競馬ファンはもちろん、初心者の方にもぜひ注目してほしいレースです。
■まとめ:精神力とスピードを兼ね備えた女王の誕生
今回のヴィクトリアマイルでは、アスコリピチェーノの「強さ」と「諦めない心」が際立ちました。
馬場状態が得意でない中でも、自分の力をしっかり出し切り、最後に勝ち切るというのはまさに精神力の勝利。
春の女王決定戦を制したこの4歳牝馬が、次なるステージ・安田記念でどんな走りを見せてくれるのか――
その答えが見られるのは、あとわずか数週間後です。マイル戦線の主役がまたひとり誕生したことを確信させてくれた一戦でした。
衝撃の末脚再び!アスコリピチェーノが春のマイル女王に輝く|第20回ヴィクトリアマイル回顧
