春の訪れとともに―4月の阪神競馬場より
春の陽気が感じられる季節になりましたね。街の桜が少しずつ舞い散る中、競馬界にも“桜”の名を冠した大一番、G1レース「桜花賞」の季節が訪れました。
阪神競馬場を舞台に繰り広げられる3歳牝馬クラシックの第一戦。今年もまた、雨が降りしきる中で熱い戦いが繰り広げられました。今回は、その名勝負をわかりやすく、そしてドラマチックに振り返っていきましょう。
勝ったのは3番人気・エンブロイダリー!名手モレイラとの再タッグが輝く
2025年4月13日、第85回桜花賞(GⅠ・芝1600m)は、3番人気のエンブロイダリーが見事な差し切り勝ちでG1初制覇!
鞍上は“マジックマン”の異名を持つ名手、ジョアン・モレイラ騎手。昨年に続く桜花賞連覇という快挙を達成しました。
エンブロイダリーはレース中盤まで中団を追走し、直線では馬群の隙間をスッと突いて外へ。粘る1番人気のエリカエクスプレスを交わし、2歳女王アルマヴェローチェとの壮絶な叩き合いを首差で制しました。
馬場状態はやや重。雨の影響で内側が荒れるなか、モレイラ騎手は迷わず外を選択。その判断が勝利を呼び込みました。
想像を超えた走りに、名手も驚きの表情
レース後、モレイラ騎手は「この馬場であれだけの末脚を使うとは…びっくりしました」と語り、
「日本の3歳牝馬の中で、新しいスターが現れたんじゃないかと思います」と絶賛。
実は、彼がエンブロイダリーに騎乗するのは、2024年6月の新馬戦以来の2度目。
その頃から非凡な素質を感じていたと明かし、「この馬はまだまだ良くなっていく」と今後の成長に期待を寄せました。
2歳女王アルマヴェローチェの奮闘と、敗れた人気馬たち
惜しくも2着に敗れたのは、2番人気のアルマヴェローチェ。
昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)を制した2歳女王は、外から懸命に追い込むもあと一歩届かず。
鞍上の岩田望来騎手は「完璧な競馬ができたが、勝った馬の脚がすごかった」と悔しさをにじませました。
そして1番人気に推されたエリカエクスプレスは、残念ながら5着。
逃げの手でレースを作るも、最後の直線で伸びきれず…ファンの期待を背負っていただけに、次走での巻き返しに注目が集まります。
注目の新人トレーナー・森一誠調教師、GⅠ初出走で初勝利!
エンブロイダリーを管理する森一誠調教師は、なんとこの桜花賞がG1初出走!
開業2年目でのビッグタイトルに「うれしいの一言です。1歳のときからいい馬だと思っていたので感慨深い」と笑顔を見せました。
彼は名門・堀厩舎で長く経験を積み、名トレーナー・国枝栄氏のもとで学んだ実績の持ち主。
その丁寧で無理をさせない調教は、エンブロイダリーの安定した成長に繋がっています。
父アドマイヤマーズ産駒としてもGⅠ初制覇!
エンブロイダリーの父は、NHKマイルCなどを制した名マイラー、アドマイヤマーズ。
この勝利は、同馬にとって種牡馬としてのGⅠ初勝利でもあります。
「スピードの持続力が武器」とされるエンブロイダリー。今後は距離延長が課題となりますが、モレイラ騎手は「2000mまでは問題ない。2400mも試してみる価値はある」と太鼓判を押しています。
次の舞台はオークスへ!注目の3歳牝馬戦線
今回の桜花賞で上位5着までに入った馬たちは、5月25日に東京競馬場で開催されるオークス(芝2400m)への優先出走権を獲得しています。
スピードだけでなくスタミナが問われる2400m戦――どの馬が“二冠”の栄光に近づくのか、今から楽しみですね。
モレイラ騎手は短期免許のためオークスには不在ですが、秋の秋華賞(10月19日・京都)で再びコンビを組む可能性もあります。
“桜の女王”となったエンブロイダリーのシンデレラストーリーは、まだ始まったばかりです。
まとめ:雨の中でも光り輝いた、新時代のヒロイン
悪天候にも負けず、堂々とした走りを見せたエンブロイダリー。
馬場や位置取り、そして最後の判断――すべてが噛み合って生まれた、見応えある勝利でした。
競馬の面白さは、こうした一戦一戦に詰まっています。
これからも彼女のような新星が現れるクラシック戦線から目が離せません!
それではまた次回、競馬の舞台裏と熱戦をお届けします!
雨の桜を駆け抜けた新女王!エンブロイダリーが魅せた一冠目のドラマ
